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後知恵 偶然の結果を必然だと錯覚する

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偶然の出来事も、必然だった?

このページの目次
  • 小数の法則、平均値への回帰、、両方とも使えない

更新日:2017/09/06

後知恵(あとぢえ)とは、偶然に起こった出来事を、必然だったと考えることだ。

 

偶然に起こったことは、偶然に過ぎないのに、それを必然と考えること自体、かなり矛盾している。

 

しかし人間はそういう風に考えて、自分を納得させようとするモノらしい。

 

あるいは、偶然を必然だと見なして、これからのことも予測できると考えているのかも知れない。

 

しかしこれは、そのあとの失敗につながりやすい。

 

たとえば、株やギャンブルで3回目に成功したとする。

 

ここで成功確率は3分の1だと考えて、それに従って株式投資を行ったり、ギャンブルをしたりし始める。

 

ところが実際はこれは偶然で、ずーっと後になって調べて見たら、成功率は10分の1しかなかったりする。

 

で、気づいてみたら、全財産を失い、山ほど借金を抱えていた、というようなことになる。

 

こういう風に、後知恵で失敗しやすい原因は、人間が偶然から何か法則性を見いだそうとする能力を持っているかららしい。

 

これは成長した大人だけにある能力ではなく、小さな子供でも持っている能力だ。

 

子供はどうやったら自分の好きなモノを食べられるか、どうやったら欲しいモノを買ってもらえるか、様々な事を試してみる。

 

そうしてたまたま上手く行った方法を、何度も何度も繰り返す。

 

母親にねだってもダメ、父親にねだってもダメ、でもお婆ちゃんに言えば上手く行く、みたいな話だね。

 

そしてこれが「素朴理論」として身についてしまったりする。


小数の法則、平均値への回帰、、両方とも使えない

統計学では「大数(たいすう)の法則」というのがある。

 

試行を繰り返すと、だんだん一定の割合・確率に収束していく、という法則だ。

 

たとえば6面の立方体のサイコロを振り、出た目を記録していく。

 

そうすると最初は特定の目、たとえば5の目が多く出たりする。

 

ところがそのうち、他の目に出目が偏ったりし始める。

 

たとえば1の目が多く出始めたり、3の目が多く出だしたりする。

 

そうして試行回数を増やしていくと、だんだんどの目のでる割合も、同じくらいに近付いていく。

 

サイコロの目は6だから、どの目も6分の1の確率に近付いていく。

 

一回一回の出目は偶然だけど、もの凄くたくさんやってみると、一定の割合が見えてくる、これを大数の法則と呼ぶわけだ。

 

ところが人間は、ほんの数回やっただけで、それが成功確率のように捉えてしまう。

 

このような考え方を「小数の法則」と呼ぶ。

 

小数の法則はもちろん、全然当てにならない法則だ。

 

3回目に成功したからと言って、成功確率が3分の1かどうかは分からない。

 

百回くらいやってみないと、ほんとのところは分からない。

 

また、サイコロを振って、6の目がなかなか出ないので、そろそろ6が出始めるんじゃないかと言うような考えも持ったりする。

 

平均値は6分の1だから、今まで少なかった出目が、次は出るんじゃないかと思うのだ。

 

こういう思考を「平均値への回帰」と呼ぶ。

 

平均値への回帰は、大数の法則を誤って理解しているもので、次に出る目が何になるかを示すものではない。

 

しかし人間は、そういう風にモノを考えやすいんだね。


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