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コンコルド効果 見込みのない事業が続く理由

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コンコルド効果とは?

このページの目次
  • 埋没費用効果

更新日:2017/09/09

コンコルド効果とは、見込みのない事業や投資を続けてしまうと言う現象だ。

 

コンコルドとは、20世紀に開発された超音速旅客機の名前で、イギリスとフランスの企業が共同開発した。

 

コンコルドは、音速を超えてマッハ2.0で飛ぶジェット旅客機で、長距離を短時間でひとっ飛びできるという触れ込みだった。

 

ところが開発が終わり、実際に営業飛行が始まると、様々な障害があることが分かった。

 

まずマッハ2で飛行するため、非常に細長い機体となり、あまりたくさん旅客を乗せることができなかった。

 

また離着陸には長い滑走路が必要で、離着陸できる空港が限られていた。

 

さらに超音速で飛ぶと、ソニックブームという衝撃波が発生し、もの凄い振動と爆音を引き起こすのだが、この影響が非常に大きかった。

 

コンコルドは通常よりさらに高い高度で、超音速飛行も海上のみなのだが、それでもソニックブームが地表まで到達することが分かった。

 

そのため空港近隣の住人によって、コンコルドの定期便就航に反対運動が起こった。

 

要するにコンコルドジェットは、定期航空便に使う機体としては適さなかったのだ。

 

なのでコンコルドの開発や製造を続けても、利益よりも損益の方が大きくなり、作れば作るほど赤字になることが分かった。

 

ところがなかなか開発は中止されず、投資が続行された。

 

あまりにも開発に巨額の投資が行われ、引くに引けない状況に陥ったらしい。

 

こういうことは企業経営でもよくあることだが、ダメだと分かった事業でも、撤退するのはかなり難しい。


埋没費用効果

上手く行かないことが分かった事業をあきらめて、撤退するのは難しい。

 

というのも計画時点では、成功して大きな利益をもたらすと思って始めたわけだし、既にもの凄い時間と投資を行っているから。

 

撤退すれば、投入した資金や人材・時間などが全て無駄になってしまうため、事業継続すべきだという意見が多数を占めてしまう。

 

こういう風に見込みのない事業を、ダラダラと継続してしまうことを「埋没費用効果」 (サンクコスト効果:sunk cost effect)という。

 

サンクコストとは、事業を続けようが続けまいが、戻ってこない費用のことだ。

 

経営学的には、サンクコストは損益として計上して、事業を続けるかどうかは、これからの投資で黒字になるかどうかで考えるべきだとされている。

 

しかし続ければ続けるほど、赤字がドンドン増えていくのが分かっても、スタートしてしまった事業は滅多に止めることができない。

 

「現状維持バイアス」(惰性力)が働いており、それを覆すだけの強い動機がないと、止まらないのだ。

 

もちろん中小企業であれば、使える資金は限られており、儲からない仕事にまわす余裕などない。

 

だから不採算事業は撤退できなかったとしても、事業規模を縮小せざるを得ない。

 

しかし大企業や大組織の場合は、上手く行かない事業でも、資金調達できてしまうことが多いため、不採算事業が継続してしまう。

 

投資に使われる金額も巨大だし、結果が出るまでの時間も何年もかかるため、撤退するタイミングもなかなか見つけにくい。

 

そうして気づいた時には大赤字で、その大赤字を埋めるために、儲かっている事業部を切り売りしたりして、大企業や大組織が壊れていくわけだ。

 


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