ピーク・エンドの法則(peak-end rule)とは
更新日:2017/09/12
ピーク・エンドの法則(peak-end rule)とは、最も大きな刺激と、一番最後の刺激が、その出来事の印象として残るという法則のことだ。
たとえば映画を見に行くにしても、記憶に残るのは、ほんの一部のシーンだけだ。
気持ちを大きく揺さぶられたシーンだけが記憶に残り、最後の結末次第では、変な後味が悪い気分だけ残ったりする。
ピーク・エンドの法則は、物語作りや、飲食店のサービス、講演などの構成などでも重要な法則だ。
たとえば物語の作り方には、「起承転結」とか「序破急(じょ・は・きゅう)」といった、骨格となるストーリー構成があるが、序破急の構成が、まさにピーク・エンドの法則にピッタリだ。
因みに起承転結とは、まず状況をボンヤリ説明し、主人公が登場し、そこで××が起こり、さらに▲▲が入って来て、最終的には◎◎と言うことで終わり、という構成だ。
一方、序破急の構成の場合は、起承転結よりも分かりやすい。
というのも、いきなり主人公が出てきて、目指すべきゴールが示されるところからスタートすることが多いからだ。
いきなり口論のシーンから始まったり、バトルシーンから始まったり、激しいやりとりで観客を物語に引き込むという場合も多い。
なぜ主人公がそのゴールを目指しているかは、少しずつ明らかになるが、目指すゴールがハッキリ示されているので、それを頭に置きながら安心してみていくことができる。
序破急のストーリー展開だと、いきなりピークから始まり、そこから展開があり、大きなどんでん返しがあって、最後に結末が来る。
要点が3つだけだから 後でストーリーを大まかに説明するのは簡単なはずだ。
印象に残るイベントと、最後の印象
ピーク・エンドの法則とは、強い刺激と、最後の印象が全体の印象になるという法則のことだ。
たとえば株式投資でデイトレなどをやっていても、こういう事は多い。
朝から買っては損切り、買っては損切りというような悪循環に陥っていても、そのどこかで大化け銘柄を掴んで大勝したら、それまで損切りばかりしていたことなどすっかり忘れてしまう。
逆に、週の前半に大勝ちしていても、木曜日や金曜日に大負けしてしまうと、週トータルでプラスでも、ドンヨリした土日を過ごすようなことも多い。
自分の過去の記憶をたどってみると、もの凄くうれしかったこと、もの凄く辛かったこと、もの凄く嫌だったことは覚えているが、それ以外のことはあまり覚えていない。
人生に関しても、今現在が健康で楽しければ、それまでの人生の殆どが辛いものであったとしても、それは単なる思い出になってしまう。
逆に今現在が病気で苦痛が多くて辛ければ、今までの人生の殆どの期間が楽しく素晴らしいものであったとしても、それは逆に今の辛さを酷く感じさせるだけかも知れない。
そういう風に、直近の印象が現在の気分を作るので、上手く終われるかというのは、非常に重要になる。
こういう風に、ピークとエンドが印象に残るわけだから、経営的には、印象に残る部分に人や金などの経営資源をしっかりかけることが重要になる。
ハリウッド映画などで、初っぱなに凄いアクションシーンを入れたりするのも、そういう印象作りのためだろう。
もちろんお金をかけなくても、印象に残るようなことをすることはできる。
印象に残るかどうかは、お金をかけるかどうかとは、直接関係はないし。