提携合理性と、提携の可能性
更新日:2017/09/22
協力ゲーム・提携ゲームでは、ゲームに参加するプレイヤーが単独で生み出す利益の合計よりも、提携を行った場合の利益の合計の方が大きければ、「全体合理性がある」と呼ぶ。
一方、プレイヤー個々の視点から、提携すると利益が増える場合(あるいはコストが下がる場合)、「個人合理性がある」という。
全体合理性があって、さらにプレイヤー全員に個人合理性があった場合、この組み合わせを特に「提携合理性がある」と呼ぶ。
つまりプレイヤー達は、協力したり提携することで、全体の利益を増やさねばならないし、さらにプレイヤー個々を見ても、それぞれの利益が増えなければならない。
提携しても、費用ばかりかさんでしまって、利益が減るという状況であれば、提携する意味が無いしね。
そして提携合理性があって最も全体合理性が高い組み合わせの配分を「コア」と呼ぶ。
コアである提案は、全体のパレトー最適・パレトー効率性を達成しつつ、個々の利益もプラスにできるような提携の提案になる。
ここまでが協力ゲームにおける「提携」の第一段階だ。
というのも、実際に提携する際には、全体のことよりも利益配分の方が重要だからだ。
全体でいくら利益が増えたとしても、自分の利益が十分増えなければ、提携に踏み切るメリットがない。
いくら全体の利益が増えても、その増分に対する貢献度に見合わない配分であれば、提携を断ると言うこともあり得るだろう。
利益配分の方法で提携は決まる シャプレー値
コアな提携案は、提携に参加しないよりも、参加する方が利益が増える状態だ。
なのでプレイヤーは、参加しないという選択肢はないはずなのだが、利益配分が少ないと感じると、提携に合意できない。
つまりコアな提案で提携するかどうかは、プレイヤー達が利益の分配方法に合意できるかどうかにかかっている。
ではどのような利益配分であれば、提携合意することができるのか。
一般的な利益配分の方法としては、
- プレイヤーの均等割
- プレイヤーの規模による比例配分
がある。
均等割では、提携しているプレイヤーの数で利益の増分を割って、それを均等に配分することになる。
比例配分では、売上げ高だとか、出資額に比例した配分になる。
ただしこれでは、不満に思うプレイヤーも多いはずだ。
というのも提携に大きく貢献したプレイヤーは、たくさんの利益配分を要求したい。
一方、資金や生産設備などを提供する側のプレイヤーは、それなりの利益配分がなければ、他の業務に企業の資本を振り分けた方が良いと思うかも知れない。
これでは、いくら提携が魅力的でも、うまくまとまらないだろう。
シャプレー値
利益配分の方法として、アメリカの数理経済学者のロイド・シャプレーが考案した計算式がある。
これは、あるプレイヤーが参加した場合と、参加しなかった場合の、全体の利得の増分の差を計算し、平均値を貢献度とするモノだ。
ただし、プレイヤーが3組以上いる場合は、最初に提携した場合の増分と、途中で提携に参加した場合の増分が違うかも知れないため、全通りの組み合わせ順を計算する。