経験は多い方が良いが、成功は約束されない
更新日:2017/09/11
経験は、多ければ多いほどよい。
少なくとも少ないよりは、多い方が良い。
というのも経験が少ないと、何が正しくて、何が間違いなのかが、わからない。
本を読んだり、動画やセミナーで学んでも、自分自身が経験しないと、身にならない。
経験が少ない状態で判断すると、九割方間違った判断をする。
これを「小数の法則」と呼ぶ。
小数の法則というのは、大した経験も無いのに、それを法則として考えてしまうと言う失敗の原因のことだ。
たとえば3回やって3回目に成功したとすると、成功確率は3分の1だと思って、そのあともそれに縛られたりする。
3分の1の確率だから、もうそろそろ成功できる、と思って失敗を重ねる。
これは「平均値への回帰」という失敗パターンだ。
で、経験が十分に増えたところで調べて見たら、成功確率は10分の1くらいしかなく、3分の1だと思っていた成功確率は、嘘だったことが分かったりする。
そういうわけだから、経験は多い方が良い。
ところが、経験が多いからと言って、上手く行くかと言えば、そういうわけでもない。
株式投資を始めて数十年、プラスになった年は殆ど無い、というような人も多い。
また経験が多いからこそ、失敗すると言うこともよくある。
経験が邪魔になるようなことも、意外に多いのだ。
どっちに転んでも、後知恵(あとぢえ)で説明できる
経験は多ければ多い方が良い。
しかし経験が多いからと言って、それが成功につながるかどうかは、また別の話だ。
というのも経験から導かれる法則というのは、たいていの場合、後知恵(あとぢえ)でしかない。
後知恵とは「偶然起こったことを、まるで必然だったと考えてしまう」という人間の思考パターンのことで、実際には役に立たない。
後知恵というのは、結果が出た後から考えた「もっともらしい」理屈であって、現実にそういう場面で役に立つ分けではないのだ。
経験から見つけた法則が正しくて妥当だったとしても、そういう状況になったときは、選好の逆転や直前効果が起こって、法則どおりの判断ができないと言うこともありうる。
「こうなるはずだ」と思って決めても、結果が出た後から見ると別の見方も出来たりすることもよくある。
結局どちらに転んでも、後知恵で説明できるような状況も多い。
株式投資でも、株価が上がったり下がったりすると、もっともらしい説明が付くけれど、殆ど全部、後知恵の解説だ。
ハッキリしているのは、株価が上がったときは、売りより買いの方が多かったということで、株価が下がったときは、売りの方が買いよりも多かったという事実だけだ。
売りと買いの比率を需給バランスと言うが、そしてなぜそういう需給バランスになったのかは、個々の銘柄それぞれのホルダーの「気分」でしかない。