協力して得られるシナジー効果は、どれが多い?
更新日:2017/09/18
ゲーム理論は、大きく分けると、参加者が協力できないタイプのゲーム(非協力ゲーム)と、参加者が協力するゲーム(共同作業ゲーム)に分かれる。
非協力ゲームの場合は、相手の出方(戦略)によって自分の利得が大きく変わる場合が大きな問題になる。
たとえば真剣勝負のジャンケンは、非協力ゲームの代表だが、勝つか負けるかで利得は天地も変わってしまう。
ジャンケンの場合は、グーかチョキかパーの3種類の選択肢しかないし、さらにこの3つの選択肢の強弱も同じだ。
こういう場合は、どういう戦略で行っても利得が偏ることが少ないので、正解(ナッシュ均衡)が存在しない。
一方、相手がどういう出方をしようと、自分の利得がプラスになる「支配戦略」があれば選ぶ戦略は必然的に決まる。
というのも、支配戦略が存在する場合は、ナッシュ均衡になる組み合わせが、少なくとも一つ以上存在するからだ。
ナッシュ均衡とは、ゲーム参加者が全て、これ以上戦略を変更しても、利得が増えないという均衡状態のことだ。
プレイヤーの選択肢に支配戦略があれば、事情が無い限りその戦略を採るはずで、他のプレイヤーもそれを前提として自分の戦略を選ぶ。
そうやって強いプレイヤーから順番に選ぶ戦略が決まってくるため、必ずナッシュ均衡に至る。
協力して得られるシナジーは、どれが多い?
共同作業ゲーム(協力ゲーム)とは、ゲームの参加者が相談して協力することができるゲームだ。
共同作業ゲームでは、協力した方が良いかどうか、誰と協力すればよいか、という点に光が当たる。
つまり協力することによってプラスになるのかどうか、得られるプラス分はどれくらいあるかで、選ぶべき戦略が決まってくる。
この協力して得られるプラス分を、特に「シナジー(相乗効果)」と呼ぶ。
シナジーを企業提携で例えると、提携による利益増分(増えた利益分)ということになる。
もちろん金銭的利益以外にも、シナジーというのはあるが、結局は売上げが増えて利益が増えるとか、損が減ると言った金銭的利益になるだろう。
ではどういう風にシナジーが発生するのか。
まず同業他社と合併すれば、業界シェアを大きくできるだけでなく、重複した部門や支店を統合することでコスト削減を図ることができる。
異業種企業や大きなネットワークを持っている企業と販売面で提携すれば、販路を拡大したり、販売促進も図ることができる。
これによって知名度が高まったり、新しい顧客が見つかったりすれば、売上げが伸びて利益が増えるということになる。
こういう風に、提携する前の利益より、提携後の利益が増えそうだから、提携という戦略を考えるわけだ。
ただ、実際には、提携したり合併しても、シナジーが殆どない場合もあるんだけどね。