今欲しい、我慢できない
更新日:2017/09/10
選好の逆転とは、イベントの直前になると、我慢できなくなって、目先の利益に飛びついてしまう現象だ。
たとえば、一ヶ月後、映画のチケットを1枚もらえるが、もう一ヶ月後なら、チケットを2枚もらえるとする。
こういう選択肢があった場合、2ヶ月待って2枚のチケットをもらう方を選択する人が多い。
一ヶ月先も、二ヶ月先も、どっちでも似たようなモノだから、より利益が大きなチケット2枚の方に心が引かれるということらしい。
ところが一ヶ月たって、実際に映画のチケットを配り始めるころになったら、「やっぱり今ちょうだい」とチケット一枚だけもらおうとする人が大量に発生したりする。
つまり「もう一ヶ月待ってチケット2枚もらう方が良い」と思っていたのに、チケットが配られ始めたら「今、チケット1枚もらいたい」と言う数に、考えが逆転してしまうのだ。
こういう「将来の大きな利益より、目先の小さな利益を優先する」という減少を、選好の逆転と呼ぶ。
利益が目の前にあると、それに飛びついちゃうのは、多くの人間に共通のことなんだね。
株式投資でも、来週に何か好材料がでるので、それまでは株価が上がるだろうと予想していたとしても、実際に株価が下がり始めたら、好材料が出る期日の数日前に、ツイうっかり利益確定して手放してしまうってことは、よくある。
マシュマロテスト
選好の逆転に関して、子供を使った実験がある。
心理学者ウォーター・ミシェルは、四歳児にマシュマロを与えるという実験を行った。
四歳児の目の前に、甘いマシュマロを1個だけ載せた皿と、2個載せた皿を見せた。
そしてお皿の上のマシュマロは食べて良いけど、あと15分だけ我慢したら、もう1個あげると告げて、部屋から出て行った。
このとき、子供はどれくらいマシュマロを食べるのを我慢できるのか、時間を計ったのだ。
この実験では、我慢できた時間の平均は6分だったという。
ただ比較的我慢できた子供と、我慢できなかった子供に分かれてしまった。
4分の1の子供が2分以内にマシュマロを食べてしまったという。
そして10分以上我慢できた子供も、4分の1いたという。
次に、マシュマロを見せるが、布で覆って見えなくして実験してみたところ、我慢できる時間が2倍になったという。
つまり、見えていると誘惑に負けやすいが、見えなければ我慢できると言うことらしかった。
さらに子供がマシュマロを食べるのを我慢できた時間を記録しておき、10年後に子供の追跡調査を行った。
そうすると、マシュマロの誘惑に比較的我慢ができた子供は、我慢できなかった子供に比べて、SAT(アメリカの統一学力テスト)の成績がはるかに良かったという。
目先の誘惑に負けず、より大きな利益のために我慢できた子供は、勉強においても好成績を出していたらしい。
マシュマロテストで、我慢できた子供と我慢できなかった子供が、なぜ大きく別れたかという原因については分からないらしい。
だが、我慢できた子供は、その後も目先の利益に囚われず、先々の大きな利益を目指していたのかも知れない。