頭に思い浮かびやすいモノを選びがち
更新日:2017/09/09
ヒューリスティクスは、複雑で時間がかかる計算や厳密で面倒な検証をすっ飛ばして、大雑把な答えを近似的に出そうという考え方だ。
コンピュータがどれだけ発達しても、複雑な計算にはもの凄い時間がかかるので、それをショートカットする方法を見つけようというのがヒューリスティクスの考え方だ。
ヒューリスティクスという用語は、心理学や行動経済学でも使われるが、こちらは「人間が失敗する原因」として理解されているようだ。
短絡的で、根拠が薄く、間違いが多い考え方が、ヒューリスティックな考えってことだね。
人間のヒューリスティクスには大きく分けて、次のようなパターンがある。
- 利用可能性ヒューリスティック
- 代表性ヒューリスティック
- 係留と調整ヒューリスティック(アンカリング効果)
一つずつ説明してみる。
利用可能性ヒューリスティック(availability heuristic)
利用可能性ヒューリスティックというのは、簡単に言うと、「頭に思い浮かびやすいモノを選びがち」ということだ。
ヒューリスティクスは、簡便にモノを決めるということだから、頭にパッと思い浮かんだことだけで判断することになる。
ではどういうことが頭に浮かぶのかというと、次の3つのパターンだ。
- テレビ番組やCMなどでよく見かける(想起容易性)
- いつも使ってるもので、思い出しやすい(検索容易性)
- 身内や近所の人、SNSの知り合いが使っている(具体性)
要するに、一々調べて考えるのが面倒なので、知ってるものや知り合いが使っているもので良いじゃん、という感じだな。
リンダ問題と、代表制ヒューリスティック
いつも買ってるモノをついつい買ってしまう。
テレビ番組やCMで印象に残っているモノを買ってしまう。
友達やSNSで紹介されてたモノを買ってしまう。
こういう、頭に思い浮かびやすいモノに飛びついてしまう、と言うのが、利用可能性ヒューリスティック(想起性ヒューリスティック)だ。
一方、リンダ問題のように、特徴的な要素で全体を判断してしまうのが、代表制ヒューリスティックだ。
代表性ヒューリスティック(representative heuristic)
リンダ問題とは、リンダという聡明で人権問題や反核デモにも参加した経験のある女性についての想像に関する問題だ。
- (A)リンダは銀行員をやっている
- (B)リンダは銀行員で、女性解放運動にも参加している
という二つの選択肢から、可能性が高い方を選ぶ。
これは「包含関係」と言って、リンダが銀行員をやっている可能性の中に、女性解放運動に参加しているかどうかと言う可能性が含まれる。
なので可能性は(A)>(B)なのだが、多くの人が「女性解放運動に参加している」という文言
に囚われて、(B)の方を選んでしまうらしい。
こういう経歴だったら、女性解放運動に参加してそうだなと考えて、短絡的にBをえらんでしまうらってことだね。
係留と調整ヒューリスティック(anchoring and adjustment:アンカリング効果)
アンカリングについては、以前にも紹介したが、直前に示された考えや数字に大きく影響を受けるということだ。
人間は、何らかの情報がないと考えることが難しい。
そこで誰かが参考になりそうな情報や提案を出すと、それを基準(アンカー)にしてモノを考え始める。
最初に出された情報や提案に、妥当性がなくても、それに引っ張られてしまうのだ。