たいていの人間は、損をするのがとにかく嫌。
更新日:2017/09/09
損失回避性とは、たいてい人間が、利益よりも損失を怖れるという傾向のことだ。
人間というのは不思議なモノで、損失がとても嫌いらしい。
大した損でもないのに、損したことと言うのが許せない。
なので損していたら、損が多かろうが少なかろうが同じだと考えるらしい。
たとえば、ここに2種類の選択肢があるとする。
【選択肢1】
- (A)クジを引かずに、1万円の賞金を受け取る
- (B)クジを引いて、2分の1の当たりを引いたら3万円もらえるが、ハズレなら賞金はゼロ。
こういう選択肢があった場合、3分の2以上の人が、選択肢(A)を選ぶ。
【選択肢2】
- (C)クジを引かずに、1万円の罰金を支払う
- (D)クジを引いて、2分の1の当たりを引いたら罰金は払わなくて良い、ハズレなら罰金は2万円。
一方、選択肢2の場合は、3分の2の人が、クジを引いて罰金を帳消しにするギャンブルに出るという。
お金をもらう場合には、ギャンブルを避けて確実に賞金をもらおうとする人が多いのに、罰金を支払う場合は、ギャンブルに出て罰金を帳消しにしようとする人が多くなる。
これは非常に不思議なことで、人間の非合理性を表すと考えられている。
利益は小さくても良いが、損失はとにかく避けたいということらしい。
株式投資でも、大抵のトレーダーが、利小損大(りしょうそんだい)に陥るが、これは普通のことなのだ。
利小損大(りしょうそんだい)とは
利小損大(りしょうそんだい)とは、株式投資でよく出てくる言葉だ。
利益が小さく損失が大きいという意味で、個人投資家はどうしても利小損大になり、投資資金をジワジワ削っていったりする。
というのも含み益ができると、いつ利益を確定しようかソワソワしてしまう。
そして株価がちょっと下振れしそうになると、たまらずに利確(利益確定)してしまう。
大きく騰がる銘柄というのは、途中で何度も株価が押し下げられたりしながら上がって行く。
なので株価が上がり始めた初動で買った人は、そのまま持っていれば何倍もの利益を得ることだってある。
ところがそんなに騰がると思っていないから、急騰が止まったところで利確して、そのあとのデカい利益を取り逃がしてしまうのだ。
利益を得るのには、忍耐力が必要だって事らしい。
一方、逆に含み損ができると、どういうわけだか突然、忍耐力が出てくる。
自分が手に入れた値段より、株価が下がってしまっていても、なぜか株価が回復するまで我慢しようとしたりする。
一時的に含み損が出ているだけで、本来はもっと高く評価されて良いはずだと思って、株価の反発に期待するのだ。
しかし実は、これって「勝負はまだ付いていない」と考えて、決済を先延ばしにしてるって事だ。
損失が嫌いなくせに、含み損は放置してしまうわけだから、実は「見て見ぬふり」をしてるってことらしい。
なぜそういうことをするのかはよく分かっていないが、保有効果やコンコルド効果(サンクコスト効果)によって、損切りすることを先延ばしにしていると考えられる。
保有効果で愛着が湧き、コンコルド効果で身動きが取れなくなっているらしい。