逆・隣の芝生は青い
更新日:2017/09/06
保有効果とは、自分が持っているモノの価値を高く見積もって、手放せないという現象だ。
新しく同じモノを高い値段では買いたくないが、自分が手放すときは、もっと高い値段でないと手放せないと考える。
これは株式投資では、よくある現象だね。
自分が持っている株は、値上がりすればするほど、売りたくなくなる。
プロのトレーダーなどは、3割上がったら何割か売るとか、5割上がったら半数売るとか、そういう風にシステマチックにやっているが、個人のトレーダーはついつい利益確定を先延ばしにする。
「3割と上がったら売ろう」と思っていても、実際に3割上がってしまうと、「まだもうちょっと上がるハズ」だと思いだして、利益確定が遅れてしまう。
そうして気づいてみたら、地合いが悪くなったり、好材料が織り込まれたりして、上昇が止まってしまい、逆に株価が急落していたりする。
さらに株価が急落しても利益確定も損切りもできず、ナンピン買いをしたりして傷口を拡げてしまう。
買い増ししなければ十分大きな利益だったのに、その利益分を買い増しで台無しにしたりするのだ。
なぜこういったことが起こってしまうのかというと、長期間保有することによって愛着が湧き、手放すのが惜しくなるからだと考えられる。
愛着と言うより、「株価が上がる良い銘柄」を失うのが嫌だと言うことらしい。
保有効果の説明では「失う恐怖」について言及している場合も多いが、株式投資の掲示板などでは、「持たざるリスク」もよく語られる。
値上がりする銘柄を持っていなければ、儲けようがないぞ、と言うわけだ。
持たざるリスクと塩漬け株
株式投資の掲示板には、「持たざるリスク」という言葉が書き込まれることが多い。
持たざるリスクとは、株式投資をしているなら、上がる銘柄を持っていないとダメでしょ!という意味だ。
こういうのは、ドンドン値上がりをしている銘柄や、下がりすぎていつ反発しても良いような銘柄の銘柄別掲示板でよく書き込まれている。
いわゆる「買い煽り」みたいなモンだが、株を持っていなければ、株で儲けることはできないのは本当のことだ。
ただ、保有している株の株価が暴落しても、手放せない人が多い。
株価が下がる銘柄は、劣化資産であり、さっさと手放して現金化する必要があるのだが、なぜかそれができないのだ。
株価が毎日のように下がっていても、利益確定も損切りもできず、含み損がドンドン膨らんでいくのをただ眺めているだけ。
そうして放ったらかしの「塩漬け株」になってしまう。
状況はドンドン悪くなっているのに、何にもできないで時間だけが過ぎていく。
大抵の人間にとって、現状維持は心地よいモノらしく、変わるよりも変わらないことを選ぶ。
これを特に「現状維持バイアス」などと言ったりする。
保有効果や現状維持バイアスによって、99%どうしようもないような投資が放置され、継続される。
これを「コンコルド効果」などと呼んだりもする。
コンコルド効果というのは、それ以上投資してもムダだと分かっているのに、投資が続くと言うような現象のことだ。