提携は、報酬ゲームと費用ゲームの二つの見方で考える
更新日:2017/09/21
協力ゲーム(cooperative game)とは、ゲームに参加するメンバー同士が相談したり交渉したりできるタイプのゲームだ。
メンバーは提携するメンバーを探し、提携したときに、どういう利益・便益があるのかを考えて、提携するかどうかを考える。
この提携には、提携内容を決める「事前交渉」と、互いに拘束力を持つ「合意」が必要だとされる。
協力ゲームは、大きく分けて2つの観点から計算される。
それは
- 報酬ゲーム…提携することによって増える利得の「提携値」を考える
- 費用ゲーム…提携することによって減らせる「費用」を考える。
という2つのゲームで、これは表裏の関係で「相対ゲーム」である。
つまり、提携によって利益が増えたとしても、提携のための費用も必要だからだ。
たとえば支社や販売店がない地域に進出するために、未進出の地域の企業と販売に関する提携を行う場合を考える。
このとき、様々な販促グッズを提携先に提供しなければならないし、社員の派遣や、提携先企業の社員への教育費用も発生する。
ただ、単独で地域に事務所や支店を置き、地元で従業員を雇って教育をして、お客さんの開拓をする場合と比べれば、費用も時間もかなり減らすことができるだろう。
なので、提携コストの大小は、提携先を選ぶ際にも重要なデータになる。
利益がいくら増えるかは、実際にやってみないと分からないが、提携に必要なコストは見積もったり計算しやすいからね。
そして提携することによって、販路拡大費用が節約できそうであれば、これも提携しなかった場合の「機会損失」として考えることができる。
提携するかどうかは、どう決まる?
提携ゲームでは、二者提携の場合もあるし、三者提携の場合もある。
二者提携の場合は、誰と組むのが最も提携値が大きくなるか(あるいは提携費用が小さくて済むか)で考える。
たとえば家電を製造する企業(メーカー)が、A・B二つあったとする。
一方、家電販売会社や電気屋チェーン(販社)が、X・Y・Zの三つあったとする、
この二つのグループでの、二者提携の組み合わせを考える。
つまり(メーカーA、メーカーB)、(販社X、販社Y、販社Z)と言うグループから、一社ずつ選んで提携を行うわけだね。
このとき、何が起こるかというと、最も提携値が大きな組み合わせが、まず提携すると考えられる。
そして提携値が最も大きな組み合わせが決まれば、次善の策の提携ができることになる。
たとえば売れ筋の商品を色々作っているメーカーAと、ヒット商品はあるモノの、種類が少ないメーカーBとでは、メーカーAの方が優勢で「拒否権プレイヤー」になる場合もあるだろう。
というのも家電店も、色んな商品を扱わないと、経営が安定しないしね。
因みに拒否権プレイヤーというのは、簡単に言うと、モテモテで引っ張りだこのプレイヤーで、選択が優先されるプレイヤーのことだ。
一方、販社の方に目を向ければ、販社Xは全国展開ネットワークだが、販社Yは関東地方で強く、販社Zは関西と西日本に強いと言う風な特性があるかも知れない。
メーカー側としては、全国展開している販社にドーンと丸投げしてしまうか、それとも特定の地域に強い販社と組んで、その他の地域は自社で顧客開拓をするかという選択になる。
また、二者ではなく三者提携も模索される。
つまり全国ネットワークを持つ販社Xと組む(二者提携)か、それぞれの地域でしっかりとした地盤を持つ販社Yと販社Zと組む(三者提携)か、という選択肢だ。
三者提携の場合は、提携する三者の中の二者で提携するよりも、三者の方が利得が大きくなる(あるいは提携費用が小さくて済む)ということが示されないと、提携が行われない。