寿司屋や鰻屋のメニューが3段階ある理由
更新日:2017/09/06
飲食の専門店では、たいてい3つのランクのメニューを用意していることが多い。
寿司屋や鰻屋などのメニューがそれに当たる。
近年のカウンター寿司屋では少なくなったが、昔ながらの座敷で食べさせるような寿司屋では、「一人前」と呼ばれるセットで注文することが多い。
そして寿司でも、うな重でも、「特上(とくじょう)・上(じょう)・並(なみ)」とか「松・竹・梅」という風に、3つのランクでメニューを表現していることが多い。
年末の忘年会や、新年の新年会のメニューも、松コース・竹コース・梅コース等というように、高い料金から安い料金まで、3つのコースを用意していたりする。
特上や松メニューでは、品数が多かったり、高級な食材がたくさん使われているため、豪華だし値段がかなり高い。
うな重なら、ウナギの蒲焼きが一匹半くらい使われていて、その下にある飯が見えなかったりする。
一方、並や梅メニューでは、品数が少なかったり、高級食材が少しだけだったりする反面、料金設定はかなりお手頃価格になっている。
うな重なら、ウナギの蒲焼きが3分の2匹くらいしか乗っかっておらず、飯の上に蒲焼きがちょこんと載っているだけといった感じだろう。
上や竹メニューは、これらの中間的なメニューで、並や梅メニューよりも品数が多かったり、高級食材が多めだが、特上や松メニューほどは豪華ではない。
こういう風に3段階のメニューを用意するのには、様々な理由がある。
というのも、以前も書いたとおり、選択肢が多すぎると、選ぶのが難しくなるからだ。
4段階とか5段階のメニューを組むことも可能だけれど、そうすると選ぶのにいろいろ考えねばならない。
お客さんのメニュー選びに時間がかかると、お客の回転率も悪くなる。
お店としては、繁忙期や繁忙時刻に、どんどん回転させていきたいから、これはまずい。
だったらメニューを一つにすると言うこともできるが、お客さんの腹具合も懐具合あるから、やっぱり複数のメニューが必要で、3つくらいになったと考えられる。
松・竹・梅 一番よく売れるメニューはどれ?
寿司屋や鰻屋のように、特上・上・並だとか、松・竹・梅という風に、3段階のメニューや、3段階のコースを用意している専門飲食店は多い。
3段階のコースを作るのは、お客さんの腹具合や懐具合に応えるためなのだろうが、ではこういう三段階のメニューを用意した場合、一番売れるのはどれになるのか?
さすがに一番高い特上や松メニューは少ないだろうが、上や竹が多いのか、それとも一番安い並とか梅メニューが多いのか。
これはもう、圧倒的に中位のメニューだという。
一番下位の「並」や「梅」のメニューの何倍もの売上げになるんだという。
一番下位のメニューが、いくらコストパフォーマンスが良くても、やっぱり中位メニューが選ばれてしまうらしい。
この原因には、いろんな仮説が立てられている。
その一つが「真ん中が輝いて見える効果」だ。
コストパフォーマンスがよく、値段の割には上等なモノが2つあった場合、どちらを選ぶかは好みの問題で、高い方も安い方も同じくらいの数が売れる。
ところがそこにもう一つ、高額な商品やメニューを加えた場合、どういうわけだか真ん中の商品やメニューがよく売れるようになる現象が起こる。
高額商品を買える人は少ないから、選択肢としては最初の甲乙付けがたい2つの選択肢から選ぶことになるのだが、結果が変わってしまうのだ。
特上の商品を見てしまうと、下位の商品がみすぼらしく見えてしまうのかな?